薬師琉璃光如来本願功德経

薬師琉璃光如来本願功德経

著 大唐三蔵法師玄奘 訳

**薬師経**、全称は**薬師琉璃光如来本願功德経**(サンスクリット語: Bhaiṣajyaguru-vaiḍūryaprabha-rāja-sūtra)であり、『大正蔵』経集部に収められている。また『十二神将饒益有情結願神呪経』とも呼ばれる。本経は、薬師仏が過去世において菩薩行を修めていた際、衆生を導き利するために立てた十二の大願を説き、衆生の現世における病苦や災厄の救済、および福楽の獲得に重点を置いている。

訳者:玄奘 A000294 (translator)

成立時期:

[大正蔵]:0650 ~ 0650(唐・永徽元年 A.D. 650)

[高麗蔵]:~ 650

[CBETA]:650 ~ 650(唐)

成立場所:[高麗蔵]:大慈恩寺 PL000000042410

## 題解

薬師琉璃光如来は薬師仏とも呼ばれ、世間の病苦を救済する偉大な医王(大医王)である。「薬師」とは、仏教において仏陀を無上の医王または大薬師と称することに由来し、「琉璃(瑠璃)」はサンスクリット語「バイドゥーリヤ」の略訳で、極めて希少な宝玉を指す。

「本願功徳」とは、願は願いであり、本願は菩薩が立てた広大な誓願を指す。その本願によって生じた功徳が、本願功徳である。

## 伝訳

本経が中国に伝来し、漢訳されたのは計4回である:

- 東晋・帛尸梨密多羅訳『灌頂抜除過罪生死得度経』(『灌頂大神呪経』に併録。一説には慧簡法師による『薬師琉璃光経』とされる)。

- 隋・達磨笈多訳『薬師如来本願経』。

- 唐・玄奘訳『薬師琉璃光如来本願功徳経』。本来、神呪や八菩薩の個別の名号は含まれていなかったが、現行の流通本は後世に『灌頂抜除過罪生死得度経』に基づいて加筆されたものである。この版が最も広く普及している。

- 唐・義浄訳『薬師琉璃光七佛如来本願功徳経』。内容は前訳より広く、薬師如来だけでなく、善名称吉祥王如来を含む七如来の浄土について説かれている。

チベット語訳には2種あり、それぞれ玄奘訳と義浄訳に相当する。1931年、ギルギット近郊のストゥーパからサンスクリット原典の『薬師経』が発見された。

## 内容

本経は、仏陀が曼殊室利(文殊師利菩薩)の請いに応じ、東方浄琉璃世界の薬師如来の功徳を説いたものである。薬師如来が因位において立てた「十二大願」(生仏平等願、開暁事業願、無尽資生願、安立大道願、戒行清浄願、諸根具足願、身心康楽願、転女成男願、回邪帰正願、従縛得脱願、得妙飲食願、得妙衣具願)が詳述されている。

この十二大願は、薬師如来が修行時代(因地)に立てた広大な誓願であり、その報いとして成じた国土が東方浄琉璃世界である。薬師仏は衆生が現世の安楽を得ることを重視し、念仏・持呪・供養などの善巧方便によって衆生を教化する。また、現世の病気、国難、諸々の難を救い、災いを除き寿命を延ばす法門が説かれている。

## 注釈

本経の注釈書には、『薬師経疏』(大正蔵 No. 2766)、『薬師経疏』(大正蔵 No. 2767)、『薬師経古迹』二巻(新羅・太賢 撰)、『薬師経講記』(太虚大師 講)、『薬師経講記』(印順導師 講)などがある。また、多くの念誦や観行の儀軌が伝わっている。

出版社
財團法人佛教電子佛典基金會
発行日
2025-10-10

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