蘇軾は文学者、芸術家、思想家、政治家としての顔を併せ持ち、「天下の奇才」と称えられています。文学創作においても詩・詞・文のすべてに精通した万能型作家であり、その文章は欧陽脩と並び「欧蘇」と称され、宋代散文の最高到達点を象徴しています。蘇軾の散文は、力強い筆致、高遠な志、自然で率直な表現、情理の融合、独創性、そしてあらゆる文体に長けていることで知られ、その詩詞よりも高い評価を受けてきました。波乱万丈な彼の生涯は伝説的であり、散文はその心の軌跡を忠実に記録したものです。本書は蘇軾の文章から82篇を厳選し、著者の各人生段階を網羅。文体も賦、論、策、序、説、記、伝、墓誌銘、碑、銘、賛、表状、奏議、書、尺牘、祭文、雑著、題跋、雑記など多岐にわたり、読者が蘇軾の生涯における思想の変化を知り、多様な文体で見せる風格を味わえるよう構成されています。原文は孔繁礼校訂の『蘇軾文集』を底本とし、他本との校勘を経て精選。収録作は執筆順に並べられ、題解、注釈、現代語訳、研析(分析)の項目ごとに解説。一部の篇には関連する詩文も附録されています。巻末には「蘇軾生平年表」と「蘇文研究論著要目類編」を収録し、研究の補助ツールとして活用できます。