新案探偵法

新案探偵法

著 小酒井不木

作品ガイド

作品背景:
医学を学びながら通常の医師とは異なる道を選んだ生理学者・鯉坂を中心に、科学実験と探偵法の境界を扱う。 青空文庫の作品カードでは、初出を「「大衆文芸」1926(大正15)年10月」と記録している。

あらすじ:
人間離れしたところがあると評される鯉坂は、既成の捜査法とは違う着想から事件へ近づく。奇人学者の振る舞いを笑いの種にしつつ、その観察と実験が意外な手がかりを作る。 常識外れに見える実験は、事件とどこでつながるのか。鯉坂の奇行が方法へ変わる瞬間が最大の見どころになる。

文学的特徴:
人物紹介を誇張して読者の注意を引き、科学講義のような説明と探偵談の速度を組み合わせる。方法の新奇さだけでなく、推論を実物で確かめる姿勢が題名の「新案」を支える。

注目したい要素:
「科学偵探方法、奇人学者」を入口に、物や場所が証拠へ変わる瞬間と、題名の第一印象がずれる箇所を追いたい。

読書の手引き:
冒頭の情報が説明、会話、場面移動によってどう組み替えられるかを追うと、短篇の省略と構成が見えやすい. ルビと段落を手がかりに、文章の速度も確かめたい。

映画・テレビ・舞台化

現在、映像化作品は収録されていません。

版と翻訳

収録本文は青空文庫公開の日本語 XHTML 版で、作品カードの底本は『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』、出版社はちくま文庫、筑摩書房と記録されている。人物紹介を誇張して読者の注意を引き、科学講義のような説明と探偵談の速度を組み合わせる。方法の新奇さだけでなく、推論を実物で確かめる姿勢が題名の「新案」を支える。という本作固有の文体を確かめるには、ルビ、段落、仮名遣いを保持したこの版が適している。「人間離れしたところがあると評される鯉坂は、既成の捜査法とは違う着想から事件へ近づく。奇人学者の振る舞いを笑いの」という導入も、段落の切れ目と語りの調子を保った本文で読むと効果が伝わりやすい。初出誌と後年の底本は別資料なので、刊行年代を混同せず、作品カードと本文を往復して読むとよい。確認できた範囲では、訳者・出版社・刊行年・完訳/抄訳の別をそろえた翻訳版はなく、他言語版を選ぶ場合は訳者と底本が明記されたものを優先したい。

作者と作品

医学研究者と探偵作家という不木自身の二つの顔が近接する作品。科学者を万能の権威にせず、奇癖を持つ人物として描くことで、知識と物語の両方を動かしている。 医学を学びながら通常の医師とは異なる道を選んだ生理学者・鯉坂を中心に、科学実験と探偵法の境界を扱う。 本作で用いられる「人物紹介を誇張して読者の注意を引き、科学講義のような説明と探偵談の速度を組み合わせる。方法の新奇さだけでなく、」という方法は、作者が同じ題材を別作品で扱う場合との違いを見分ける手がかりになる。同じ作者の作品と比べるときは、語り手が知る範囲、説明を遅らせる方法、現実と幻想の距離に注目すると、『新案探偵法』独自の位置が明確になる。

出版社
BookAI
発行日
2010-05-20

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